ブッククラブニュース
平成23年3月号新聞一部閲覧 追加分

読み聞かせのある生活H最終回

 読み聞かせのある生活は、ふつうなら読書のある生活にむすびついていく。ふつうならの話だ。しかし、配本開始の最初に述べているように5歳ごろ、8歳、11歳をおおまかな区切りとして本から離れていく子どもがいるのも事実である。
 ブッククラブ内では4〜5歳で離れる子はあまりいないが、読み聞かせをしてこなかった家庭の子ではキャラ本や戦隊もの絵本、プリキュアなどカワイイ系アニメ本に流れるのは一般的なことである。こちらが絵本といっているものにまったく触れないで育つ子も多い。8歳は一人読みが確立する時期だが、ここできちんとした本に移れない現象も起こる。その背後には、過度なお稽古事、学習、子どもの周辺にはびこるサブカルチャーなど、さまざまな問題があるが、その息抜きにマンガやゲームに浸ってしまい、一人読みグレードに達せないまま別の方向に行ってしまう子どももけっこういるのである。間違っても「読み聞かせは十分にしたのだから読書に進むだろう」などとは思わないことだ。進む場合もあるが、環境設定がよくないと、そのまま本を読まない状態にになってしまうこともある。
 そんな子たちの心配をしなくてもよいと言われる方もいるかもしれないが、ブッククラブ内部も社会的な傾向に常にさらされている状態があって、「読み聞かせのある生活が読書のある生活にむすびついていく」とは断言できない。11歳ともなれば、学習自体が子どもの生活に余裕をもたらさないので、読書から遠ざかる子も多い。親も勉強さえすればいいと割り切ってしまう人がたくさんいる。もちろん、本を読むことができる子どもは時間を作ってでも本を読むが、ふつう、なかなかそうはいかない。一日は24時間しかなく、いまでは大人同様、子どもも忙しい一日を送っている。スポーツで疲れ切っているのに読書もないことだろう。そういうものが横たわっていて、本を楽しむ体験ができないまま大人になってしまう子も多い。
 実際その歴史は戦後、何回も繰り返されている。

 最近、段階の世代が老人になり、孫ができて、そこはそれバカな老人と化していく現象が出ている。高度成長の主役として競争社会を生き抜いてきたため教育も投資であるとしか考えられない世代でもある。自分の子どもは塾へ追いやり、子育ては学校と塾にまかせて働いていた世代だ。働きに働いたから、年金で金満老人と化してもいる。彼らの孫への接し方は「金」と「物」である。
 ブッククラブでも近年、「祖母、祖父がお金を支払うから孫に本を送ってくれ!」という依頼が多くなっている。
 自分の子どもには読み聞かせもせず、ひたすらお勉強をさせていたにもかかわらず「子どもには情操教育が必要!」などとどこで聞いてきたか分らないが、とにかく金にまかせて何でもしてやるという状態が起きているのある。
 娘ならまだしもお嫁さんなら「大きなお世話!」と思う人もいることだろう。「でもまあ、せっかく送ってくれるのだからいただいておくが私はこんな絵本は嫌い。もっとかわいい、アニメの絵本がいいわ。」と思う嫁もいるにちがいない。美智子妃殿下は幼少の頃、お父様が疎開先に本を買って持って来てくれた育ちだが、団塊の世代のほとんどが「少年マガジン」や「少女フレンド」で育った連中である。頭は軽いサブカル頭である。息子、娘たちが学歴さえしっかりしていて、金を稼いでいればそれで満足なのである。つまりは、同じ価値観が何回も繰り返され、息子、娘たちはTVゲームとテレビ一辺倒で育った世代になっている。絵本の読み聞かせとはあまり関係がないともいえる。彼らの価値観は当然、流行を追いかける価値観だ。
 しかも現代は「のんびりしていたら取り残される」と焦らされる時代だ。新しいものを追いかけて、それを獲得しないと置いてきぼりを食う恐怖感がみんなにある。ほんとうは、そんなものでは生活も人生も満たされないのだが、バブルこのかた、新しいものを追いかけることがいいことで、ゆったりと暮らすなんてとんでもないという考え方が世の中を占め始めた。楽しく読み聞かせ、読書の時間を味わう良さなど絵に描いた餅になるかもしれないが、個人的には「ゆったりと楽しい子ども時代を送った人は人生も厚みが出てくる」と思っている。金満老人の支えがいつまでも続くわけがない日本だが、まだ本の持つ価値や底力は「見えるブランド物」「早期教育」よりはりかに低い。民主主義の時代ですが、読書はそうそう価値のないものではない。なんとか「読み聞かせのある生活を読書のある生活に」つなげてみたいが、経済が逼迫すれば、さらにむずかしくなることだろう。。(ニュース一部閲覧)

H―4歳以降の読み聞かせ 最終回

 4歳代は社会性を学ぶ時期であると同時に自己主張の始まる反抗期でもある。だから、配本では、3歳代の物語絵本をさらに深化させたものを相応に配分してある。また反抗・自己主張は批判や疑問にも通じるので、いわゆる特定の価値観で形成された「昔話」などもこの辺から与えると良いように思える。3歳以前に与えると鵜呑みにしてしまって、価値観の固定が起きることも予想されるからだ。ただ、現在では昔話でもアニメ版のものが横行しているので、他の物語絵本と同じように粗悪な昔話(永岡書店版・ミキハウス版・小学館版など)は極力避けたい。いずれ6歳でまとまった日本昔話、グリムなどは入れるので、配本では代表的なものにとどめてあるが、あまり焦って前述のはしょった内容のアニメ版でごまかさず、4歳以降にしっかりした本で与えていきたいものである。

 また、この時期は協調性や周囲との関係にも関心が強まるので「もりのこびとたち」や「からすのぱんやさん」などのように家族の役割や対外的な関係をテーマにした絵本もきちんと入れていってあるのでご心配なく。
 発達に応じて適切な読み聞かせをしてきた子どもは、この時期になれば内容的に深く、長いものでもけっこう聞くことができるようになる。古典的な名作などの発達時期に呼応した内容の本を性差に応じて与えるのも大きな反応を引き出すものになるので、適切に配置しているつもりだ。

 この時点では、いわゆる社会的な常識が身につき始めているから、それに反した展開のナンセンスものも与え時でもある。「おおきなおおきなおいも」「ある朝ジジジャンボーはおったまげた」「キャベツくん」などである。性差・月齢に応じて一冊は加え入れてある。
 また 時季ものになるが、「さむがりやのサンタ」は、上記の理由からこの時期の子どものクリスマスものとしては最適なものだろう。この人間臭いサンタの思いに共鳴する子どもはかなり出てくるはずだ。
 このような形で、なるべくサブカルチャーものを避けながら、発達に応じた形で読み聞かせを楽しむと4歳後半からは、かなりオールラウンドな分野の本の読み聞かせが可能になる。もう、会員の皆さんの間では、読み聞かせは完全に定着した時期。好みで固まることなく多様なものが楽しめる・・・これは読書へ入る必要条件でもあるので、どんなものでも楽しめる読み聞かせを心がけてください。(ニュース一部閲覧)

*今月はブッククラブ修了関係の個人情報や会員への御知らせページが多いため一部閲覧はここまでです。



(2011年3月号ニュース・新聞一部閲覧 追加分)

ページトップへ